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【感想】『赤松とクロ/鮎川ハル先生』―迷いを飲み込んで、進む―

赤松とクロ

赤松とクロ

じゃあさ、お前相手してくれんの?――

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こんにちは氷太よ。

今日は鮎川ハル先生

『赤松とクロ』

を頂いていくわね。

ぶっちゃけ言わせて貰っていい? 

・・・なんなのよこの初々しい2人は。

ドラクエのニフラムとか、ドラキュラにとってのニンニクとか、こんな感じなのかしら・・ううっ!!

 

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なんかさ、ほっこりするのよ。

コンビニで冬にレジで仲良く並んで陳列されているピザマンと肉マンみたいな。

一緒にふっくらホコホコとしてるのよね。

購入した時の印象は、正直言ってホモとノンケのお話だから典型的な衝突みたいがあるんだろうな~とは思ってたのよ。

 

でも、これは違う。

優しい思いやりと、心に住まう矛盾に対する自問自答に満ちた物語ね。

あらすじ

クロこと黒川は、同じ大学のノンケ同級生・赤松に片思い中。ホモであることを知っても他の同級生のように奇異の目で見るでもなく普通に接してくる赤松に、不毛と知りつつ恋心が膨らみ続ける中、ホモの先輩がクロを狙っているのを知った赤松の“一言”に、押さえ込んでいた気持ちの蓋が思わず開いてしまい――

こんな感じね。

ちなみにこの「ホモの先輩」のお話も収録されてるわ。

こっちはホモ同士のお話。

凄く自然体で現実味溢れてよかった。

純粋に「ホモ同士」の恋愛を取り扱った作品としてトップクラスのクオリティがあると思うの。

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んで話を戻すと、アタシがこの物語で引っかかりを感じる点が2つあるのよ。

ここでは1つ目を述べていくわね。

他の同級生のように奇異の目で見るでもなく

 ・・・これなぜ自分はホモであるという事が大学構内において広まっているのか?

これってね、同じホモとして軽んじる事のできない問題よ。

1人の人間としてかなりの困難が待ち構えている大問題よ?

でもここが全く描かれてないのよね。

さも当たり前のような要素として含まれているの。

恐らくクロにとって赤松は初めから「特別な存在」であったという事を強調・成立させたいんだと思うけど、それにこの要素を使うのはちょっとどうなのかなと思ってしまう。

この問題のように差別というものって必ず発生し得る問題だとアタシは思ってるの。

これは生物としての自然な本能だとアタシは思っているのね。

絶対的に肯定していくと人間という種というものが繁栄を成しえないから。

ただ、差別というものは絶対的なものではなくそれに賛同しないものも存在するわけ。

つまりこの場合だと、「ホモ」という人間を弾圧しない存在という事ね。

それがこの赤松だった・・・と冒頭からそこは理解できるんだけど、差別をしない事という部分に好意的になるのであれば先輩でも良かったわけじゃない?

いやいや、赤松の人間性に惚れたんだ・・という事ならそもそもこんな設定不要だったんじゃないかなと思うわ。

だってバックボーンが描かれてないんだもの。

物語に冒頭以降、全然関与していく事ないんだもの。

まあ長々書いちゃったけど、だからといって面白さに欠けるとかそういう事に繋がる事はないわ。

ちゃんと起承転結を踏まえた、プラトニックなBLになっているから。

登場人物

赤松とクロ

 

クロ(表紙左)×受け

院生を目指し勉強している大学生。

掴み所のないように見えて純粋で素直なホモ。

この子、生粋の受け気質でありながらナヨっとしてないレアキャラだわ。

赤松(表紙右)×攻め

明るく、方言可愛い大学生。

クロと学部は違うが、同じ大学。

ノンケだが、男に対する抵抗感が全くない。

感想

日常のやり取りに付け加えて、2人で過ごす初めての夜の様子などを穴が開くんじゃねーかってくらい何度も見返したけども、ボロが出てくる所かどこかのホモカップルをそのまま描いているんじゃないかってくらいリアリティに富んだ描写になっているわね。

絵がシンプルなせいなのか、それ以外の要素があるからなのか、アタシは絵の事が分からないからなんとも言えないんだけど、表情からより細かな感情を読み取れる事ができるの。

例えばBL・・というか恋愛モノでワンサカとある「赤面」。

ああ、恥ずかしいんだな・・で大体の作家さんは留まっているんだけど、この方は違うわね。

その恥ずかしさに加えて、その奥にある葛藤とか躊躇い、勇気なんかが見えてくるの。

こういうものなのよ。

アタシが望んでるBLって。

男同士の恋愛って。

物語全体の流れからは触れられているわけじゃないんだけど、「男」としての考えっていうかプライドっていうのかな。

そういったのが細かに行動とか表情に組み込まれている稀有な漫画って言えるわ。

 

アタシが言いたい事分からないわよねきっと・・・。

よくあるパターンだと

攻め=勝ち

受け=負け

みたいな図式ってあるじゃない?

例えばジャンケンしてポジション決めるってなった場合、多分ほとんどの作品が負けた方が受けになると思うのよ。

アタシ的にはこの受け=負けみたいな感覚全然分からないけど、言いたいことは共通していると思う。

甘えていいのか、そうじゃないのか。

頼っていいのか、そうじゃないのか。

そういった部分を恋愛に溺れた感情だけじゃなくって、あくまで男性的な視点も付け加えられて描写されている。

ここがこの物語の本当に良い部分なんじゃないかと思うの。

 

そこまで言っておいて、何故名作扱いじゃないのかというと前述した「引っかかりを感じた2点」のせいなのよね。

もう1点はこの赤松のノンケ設定。

これに対するクロ側の心情はカンペキだったと思うの。

でもこの赤松本人のノンケっていう物の垣根を越える描写。

ここに関しては何1つとして説得力を持つようなものがないのよね。

まあ赤松自身が「自分はノンケ」と言っているわけではないんだけどもね。

クロがあくまでそう言っているだけだしね。

ただ、物語に出てくる要素を素直に汲み取って行くと

どうしてそうなった?

とも思えてしまうし、

友情と恋愛の区別が単に付いてなんじゃない?

とも言いたくなってしまう。

さすがに発展シーンを除いてだけど。

 

よくクロのセリフに

「アイツはノンケ」

って言葉がやたらと強調されるように出てくるんだけど、これ先生も分かってたんじゃないかな?

赤松が全然ノンケらしくないって事に。

どうやってもただの潜在ホモにしか見えないもん

潜在ホモって自分をホモだと自覚してない人の事ね。

いかに彼女と付き合った事あるっていう事実があっても、それだけでノンケっていう事にはならないわ。

 

単純に、赤松はノンケなのかホモなのか分からないっていう設定であれば物凄く良い漫画だったと胸を張って言えるんだけど・・・。

 

でもやっぱりこういう設定を押し付けられてる感がアタシにはマイナスかなあ・・。

女性とっては感じたりしないし気にも留めない小さな要素かもしれないけど、ホモのアタシからするとちょっとノンケっていうものに対する実態を掴めていないんじゃないかな?と言わざるを得ないわね。

アンパンマンの映画見に行って、面白かったけどアンパンマン出てきませんでした。

簡単に言うとそんな感じかしらね。

 

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まとめ

「ホモとノンケ」

この部分にシビアにならなければ確実にどんな人にも名作として受け入れられるであろう漫画ね!

特に2人がくっついてからが秀逸。

甘すぎず、でも甘い2人のやり取りを是非堪能してみて!

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