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【感想】『どこにもない国/草間さかえ先生』―近づいて離れて、思い起こす―

どこにもない国

どこにもない国

どこか一部分置き忘れてきたんだ――

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こんにちは、氷太よ。

いやーやっと激務を終えたわ、ゆっくり漫画が読める。

今日は草間さかえ先生

『どこにもない国』

を頂いていくわね。

この作品は表題作とは別に大きく分けてあと2つの短編が収録されているわ。

 

う~ん・・・・。

言葉で当てはめられないような、刹那的でプラトニックな関係性が描かれていくんだけど・・・・。

 

文字で掘り起こすの凄まじく難しい漫画ね。

 

これ大学時代のあの感覚に似てる。

氷太法学部だったんだけど、刑法の授業を選択してたのね。

通年科目って言って、1年間通して学んでいく授業だったんだけど

テストは最後の日にあって、1問しかないの。

 

1問よ?

これ、この1問に関する知識なかったら詰むのよ。

1年という時間無駄になるの。

あの心臓がヒュッっとなる感覚に似てるわ。

今回は全力でお茶を濁していくスタンスで解説していくわね!

 

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あらすじ

南方戦線での状況下、たびたび問題を起こしては処罰される部下・早川と、厳しい隊長の竹内。

二人の間にはある秘密があって……。

そして時代は終戦を迎え、復員船で祖国に戻った二人は共に暮らすようになるが――。

男同士の情愛の儚さを、当時の風景を濃密なタッチとともに描いた表題作とその続編。

こんな感じね。

戦争の前後という時代背景が凄く伝わって来るわね。

このお話、短編なので読んでて「?」となる部分があるのは致し方ないのかもしれない。

限りなく説明的な要素を省き、この2人の関係性に全てを注いだそんな構成になってるわ。

例えばこの

二人の間にはある秘密があって……。

 ってとことかね。

ここ、隊を統率するための「ヤラセ」なんだけどどういった経緯でそれを始めたのかとかそういった突っ込んだ部分は描かれてないの。

あくまでBがLしていく過程・・・。

ここに全てが込められている。

 

前半部分では「2人だけの世界」 の始まりを描かれて

後半部分では「2人だけの世界」の終わりが描かれるわ。

登場人物

どこにもない国

 

慎さん(表紙左)×受け

海軍部隊の隊長。

陸での仕事を行う事になり、隊の統率に難が出始める。

耳が聞こえないのはフリだったの?聞こえるようになったの?

早川(表紙右)×攻め

慎の部下であり、慎に惚れている。

慎の事を思い、隊の統率のため汚れ役をする。

触れずに発射するって・・・・。

キミ、何日我慢してたの?正直にお兄さんに教えてごらん。

 

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*氷太は攻め・受けの拘りはありませんが「上官が受け」に凄くグっと来るものがある人です

 

感想

この漫画を見た人はこう思ったはず。

 

「ああ・・・トマトが食いたいな・・・」

 

その次に

 

「ああ・・・煮物食いたいな・・・」

ってね。

こういう戦時中前後の食べ物に関するものって凄く美味しそうに見えるのアタシだけかしら・・・。

 

この物語の前編の部分、タイトルが「どこにもない国」っていうのは納得。

ただそこでお互いがお互いの気持ちを確信し合う事だけでは終わらない。

むしろこの表題作の肝になるのは後編の部分よ。

 

「2人きり」の戦地から日本へと戻り、そこで慎さんはあるものを見てしまうのよね。

これによって、早川は本当は自分の所にいるべき存在ではなく、本来帰るべき所に帰すべきなのではと葛藤するわけね。

この感情こそが、あの2人だけの国の終わりを告げる感情なのよ。

もう2人だけじゃないのよね。

色々な外的要因に捉われている「日常」なの。

この2人だけのあの時間を、この日常から思い返す。

ここの心の動きに注目して欲しいわね。

決して全ては語ってはくれないわ。

1つ1つの行動や、表情の意味を噛み砕いて読み進めないとただのよく分からない作品になってしまう。

 

他短編について

実はアタシはこの表題作よりも、収録されている高校生の時と大人になってからのお話の方が個人的には好きかな。

「モロオカ」という人物に人生をかき乱された4人2CPのお話。

序盤中の序盤は主人公の頭の悪さについていけなかったけど、これが表題作でも問題なかった程お話が濃厚なのよ。

 

この2CPの鶴田とみっちゃんサイドのお話なんかほんと傑作よ・・・。

みっちゃんはずっとモロオカを初め、鶴田の障害となりえるものを主に物理攻撃で破壊してたくらい鶴田の事好きだったんだけど、鶴田結婚しちゃうんだよね。

 

このとてつもなく高い壁の前にみっちゃんがどう接していくのか?

みっちゃんの行動に鶴田は何を思うのか?

はっきり言ってBL中のBL漫画よこの物語は。

男特有の、男同士の繋がりを恋愛に絡める違和感のなさと骨太な進行がこの物語の素晴らしく良い所だったわね。

 

そして最後のみっちゃんのキメのセリフ。

ここクッソかっこいいよ!!

俺もいつか言ってみたいこんなセリフ・・・!!

ほんっとヤバイから!!

 

こんなとこかな。

 

え?もう1個の物語はどうなんだって?

 

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ぶっちゃけこれは普通だったかな。

何か骨董品?に関するお話みたい。

BLじゃなくてよくね?っていうね。

色々と突拍子もなかったし。

 

まとめ

萌え要素とかそういうのは作中にはない。

どこまでも硬派で骨太な物語重視の漫画よ。

ただ、限りなくそのテーマに注力しているので説明不足というか、読み聞かせる部分に関しては優しいとは言えないわ。

きっと読み解いていくのには普通の漫画よりも時間がかかるから、休みの日なんかに読んで欲しいわね。

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今回の漫画

 

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