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ホモがBL漫画を斬るわよ!

独特の視点でBL漫画の感想を述べていく唯一無二のレビューコンテンツ

【感想】『未熟な楽園、或いは/kayama先生』―夢を失い、願いが出来た―

未熟な楽園、或いは

未熟な楽園、或いは 

いつから失くしたのか古傷に刺さる――

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こんにちは、氷太よ。

今日お客さんに

「アツシに似てない!?」

「似てる似てる~!!」

「アツシって〇〇さん家の?」

「言われてみれば凄い似てるー!!」

って言われたんだけど・・・。

 

 

誰だよ!? 

こっちはどうリアクションすればいいんだよ!?

つーか言われて初めてそう認識したくせに「凄い似てる」ってなんだよ!?

なら言われる前に似てるって言えや!!

以下その後の流れ

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なにこの流れ。

罰ゲームか何かなのかしら?

失礼極まりないわね。

目は笑わなくていいから、口角くらい上げろや!!

お前らのポニーテール風味な髪型、三つ編みにしてやろうかっ!?

 

今日はkayama先生

『未熟な楽園、或いは』

を頂いていくわね。

ネーミングからしてアタシの好み。

ちょっと意味深な感じするじゃない?

でも読んでみた上での提案なんだけど、この表紙。

この水面に移る影、そのまんまじゃなくって逆に左の子が右の子を抱えてあげてるようにしてたら完璧だったわね。

この作品、表題作とは別にあと2つの短編が収録されているんだけど、この短編は正直言ってそんなに良い出来栄えとは言えないわ。

主題として何を伝えたいのかが全く分からない。

特に最後の物語。

これはちょっと・・・酸いも甘いも経験したアタシでも軽くトラウマになるかもしれないスレッスレのラインね。

可哀想過ぎる結末・・・なんだけど過程が分からないから感情移入もできない。

なんなのかしらこれは・・・。

 

じゃあ表題作を見ていきましょっか。

 

あらすじ

夜10時からのコンビニバイト。

そんな廃棄を食うだけのくすんだ毎日。

安藤は、コンビニのゴミ箱に並んで座り込んでいた高校生の中田と出会う。

ある懐かしさから「家に帰りたくない」と言う中田を部屋に招き入れたら、いつかの傷がじくじくと疼きはじめて――

こんな感じね。

ちょっと退廃的な、希望もクソもないような始まり方よね。

でも実写化してもいいんじゃねーかってくらい、芯のあるお話になってるわ。

単純にBL要素を除いてもね。

この初めの段階から登場する2人には共通点があるのよね。

「夢」がないのよ。

現実にうちひしがれ、もがく事すらやめてしまった状態なの。

そんな状態からのスタートなんだから、コメディ要素は一切ない。

ヒューマニズムに則り、特化したシリアスなお話よ。

 

登場人物

安藤(表紙左)×攻め

ある思いをある人に届けるために、クレジットに名前の出る映画製作の仕事に携わる。

奮闘していたが、過酷な内容で車を運転中事故に遭いその道を断つ。

俺はキミのやってる事、選んでいく選択肢、凄い分かるよ・・・。

中田(表紙右)×受け 

進学校に通う高校生。

出来の良い兄と比べられ、家に居場所がなく限界を向かえ家出した。

宛もなく、コンビニの前で座り込んでいた時に安藤と出会う。

終始お姫様、物語のラストで王子様へとクラスチェンジする。かっこいい。

 

感想

ちょっとBL要素が加わってくる初めの部分だけは、急だとしか言いようがないわ。

投げやりな気持ちは分かるけど、だからと言って発展行為には至らないだろうよ・・。

ここ、ちょっと残念かな。

 

それを除けばもう素晴らしいのオンパレード。

登場する女のクソっぷりが不愉快通り越して笑えてくる。

 

あとは安藤に暴力的な部分があったりするんだけどね。

いきなりカッなるような爆発のような感情の隆起なんだけど、ここ男なら分かるわ。

体裁というかステータスというか、そういった部分に男って過敏だしね。

安藤は夢を失ったフリーター。

落ちこぼれとはいえどエリートに変わりはない中田を羨ましいと思いつつ、だからこそそんな中田による自分を賞賛するような言葉を信じる事ができないのよね。

それに所詮高校生だし、電気代とか家事をするとかそんな発想ないだろうし、そりゃ行き場のない怒りが湧くのも当然だわ。

そんな「他人」同然な2人から、お互いに抱えている傷跡を見せ合い、心を許し、相手のために何をしてあげられるかという関係性にまで成長する。

 

・・・通常ならここでハッピーエンドが訪れようものだけれども、この漫画は一味違うわ。

アタシもこの結末には同感よ。

自分の「今」の幸せを見つめるんじゃなく、相手の「未来」の幸せを願うのよね。

ここ本当に素晴らしい。

もうこの言葉以外に言葉が見つからないわ。

この相手の未来の幸せを具現化させるために、非情な手段を使うんだけど、ここからの中田の王子様っぷりも本当に良かった。

表紙の意味ってここにあったんだって。

本当に救われていたのは誰だったのかって。

『未熟な楽園、或いは』の意味って何だったのかって。

全てが最後のシーンで繋がるわ。

 

まとめ

ぶっちゃけ表題作は秀逸。

あとの短編がその足を引っ張っているけども、他にはない独特な切り口のヒューマンドラマを評価して名作扱いさせて頂くわ。

そんじょそこらの

「何もしてないけどハッピーエンドになっちゃった、エヘ☆」

みたいな自己都合丸出しのBL漫画が嫌いな人は、この表題作の泥臭さを感じさせるような2人の人生への必死の抵抗に感銘を受けるはず。

そんな2人が最後に願う2人の未来の答えを、是非見て欲しい。

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