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【感想】『今夜も泊めてよ!/松吉アコ先生』―沁みこむような暖かさ―

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 いつでも泊まりにこいよ――

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こんにちは、氷太よ。

今日は松吉アコ先生

『今夜も泊めてよ!』

を頂いていくわね。 

この漫画は表題作とは別に1つの短編が収録されているわ。

アタシ、初めて拝見する作家さんなんだけど・・・。

お上手ね、この方。

ノンケが堕ちていく過程が本当に自然だし、様式美すら感じるわ。

コミカルさとシリアルさがうまく融合しているから万人受けする作風ってとこかな。

 

 

それにしても宿代の変わりにパンツをあげるという設定の奇抜さよ・・・。

いったい、いつどういった時にそんな発想が出てきたというのであろうか・・・。

 

皆は男のパンツに何か思い入れってあったりする?

こういうパンツ履いてて欲しいとかそういう感じのさ。

あんまないのかな~・・・。

BL読んでてもパンツを強調するような描写のある漫画ってそうそうないものね。

何故か靴だけ履いてる描写はあるけどもね。

「どうやってズボン脱いだんだよ」みたいなさ。

「ズボン脱いだ後わざわざ靴履いたのかよ」みたいなさ。

あれってやっぱりそういうのが好きな特定の層でもいるのかしら・・・?

 

アタシは個人的にパンツには思い入れは全くないのよねえ・・・。

アタシ自身、着用してるのは基本的に3枚1000円とかで売ってる普通のだっさいトランクス。

あ、分からない人の方が多いかしら・・?

トランクスって、短パンみたいなパンツの事よ。

小学校低学年生ご用達のブリーフから次へのステップになるパンツね。

大体中学生はトランクスのはずよ。

今時の子達はどうなのかしら・・・。

オシャレな子はボクサーパンツにするのかもしれないわね。

まあ今度見てみるわ!(←犯罪

・・・なんか氷太のパンツ講義みたいになってるけど、ついでに言わせて貰うとアタシ、確かにパンツに関して無頓着だけども

 

 

一応勝負パンツは持ってます。

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あらすじ

ある時はボクサー……またある時は、ブリーフ!!

結婚目前で彼女にフラれ、しがない男の一人暮らしを満喫中の花田(はなだ)。

ある日、家出をして道端で眠りこけていた高校生・優木(ゆうき)をなりゆきで一晩だけ泊めてやることに。

ところが翌朝目覚めると優木の姿はなく、枕元に脱ぎたてパンツが――!?

なんと優木は、泊めてくれそうな男の家を渡り歩き、宿代としてパンツを渡していたらしい!!

危なっかしくて放ってはおけず、奇妙な同居生活が始まって……!?

こんな感じね。

・・・記事にしといて何だけど、本当に頭おかしいお話よね。 

このあらすじだけじゃ伝わらないかもしれないけども、実はハートフルは物語になっているわよ。

読んでて決して何かを考えさせられるとか、そういった作品ではないものの人の気持ちの暖かさ、絆の良さっていうのが伝わってくる漫画になってるわ。

もう人の温もりがどんなものだったか忘れかけているアタシには、目に染みるものがあるくらいよ。

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登場人物 

花田(表紙左)×攻め

ガテン系の職業の社会人。

夜に駅周辺で寝ていた優木に声をかけた事が出会いのきっかけ。

顔は怖いけど性格良い人タイプの典型。

優木(表紙右)×受け

自由奔放な高校生。

誰もいない家に帰るのが嫌であらゆる人の家に泊めてもらっている。

報酬としてパンツを置いていく。

・・・ねえ、2連泊した時はどうするの?

感想

設定が在り得ないような話なんだけど、キチンと楽しませてくれる「漫画」してる漫画ね。

そうねえ・・・夏目イサク先生の作品とか好きな方は肌に合うんじゃないかしらね。

もう一度繰り返すけれども、あくまで前提としてはコミカルな作風なのに意外と物語もしっかりしてて、ノンケが堕ちていく過程もこれまた意外と繊細に描かれている。

見所は料理の全くできない優木がやっとまともな料理ができるようになり、朝食を一緒に食べてる時かなあ。

優木の

「もっと素直に褒めてよ!おいしい~!とかまた食べたい~!とか」

というセリフに花田さんはこう返す。

「・・・ふつう~、もっとおいしいの食べたい」

 

ここ、阿部あかね先生の『いつもあなたの事ばかり』

の後半の由一よる、泣いている武久へ言い放つ

「うわ~ブス~」

ってセリフに通じる所がある。

ツンデレとかそんなんじゃないのよね。

満面の笑顔で愛のある悪態をついているっていうか、そんな感じなのよ。

この部分の

・・・ふつう~、もっとおいしいの食べたい

ってとこの花田さんは後頭部しか見えないんだけど、きっと笑ってるんじゃないかなーって心が暖かくなったわ。

 

ただ物語最後の結末と、そこに至るきっかけとなった優木の引越しに関するやりとりはちょっと頂けない。

花田は良い事言ってる風なんだけど、個人的にはずっと違和感が拭えなかったかな・・。

簡単に言うと子供なんだから大人に

「わがままを言え」

っていう主張なのよね。

う~ん・・・。

これってどうなのかしら・・・。

いい歳した大人が言うセリフなのかしら・・・。

それともいい歳した大人だから言えるセリフなのかしら・・・。

アタシは正直色々と物事を飲み込んで覚悟を決めてきた、子供でもあり大人でもある高校生に対して言うようなセリフじゃないんじゃないかな~と思っちゃったわ。

まあ2人が良いならそれで良いんだけどさ。

だけどやっぱり最後の収まり方はちょっとダメかな。

これ見てみたら分かると思うけど・・・っていうか実際に子供を育ててる人からすると、アタシ以上にもっと在り得ないって反応になると思う。

 

それともう1つ短編が含まれてるって言ったわよね。

こっちも簡単に触れておくわ。

『××恐怖症のカレ』

過去にあった壮絶なトラウマにより、性嫌悪症に陥ってしまった子の話ね。

ぶっちゃけ表題作との落差半端ない。

シリアス寄りのお話。

基本的な物語の展開は良かったわ。

心に負った傷を優しく時間をかけて癒してくれる相手とのお話で、キー要素となる「トラウマ」に関しても凄く深く掘り下げてて重みがあったわ。

 

た・だ・し。

初めはこのトラウマを負っている子は彼氏がいるのよね。

っていうか彼氏自体は作れるのよこの子。

ただ性嫌悪症のため、プラトニックな関係性しか築き上げる事ができない。

いくつもそのせいで、今までの関係が壊れてきた。

そして今回は我慢を重ねてきた彼氏による強引な誘いにより、恐怖で立ちすくんでいる状態でもう1人の主人公に助けられる・・・。

そういった流れで物語が始まるのよね。

ここ自体は全くもって問題ない・・・っていうか深くて面白い。

 

・・・んだけども。

物語を読んでてずっと違和感を感じたのは、もう1人の主人公と冒頭で付き合ってた彼氏との差別化が図りきれてないってところね。

読んでてずーっと思ってたの。

このトラウマを持ってる子って全然努力してねえなって。

これがダメなんです、アレがダメなんです。我慢してくださいね。

っていうのが当たり前のスタンスなのよね。

自分から歩みよりがないのよ。

アタシから見るとめっちゃイライラするのよね。

出来なくってもいいじゃないの。

努力しても出来ないって事と、出来ないからってはなから何もしない事は雲泥の差があると思うの。

ところがそれがもう1人の主人公と出会うと何とか頑張ろうとするわけよ。

そんですんなりとトラウマが1つずつ解除されていくのよ。

・・・これ何でなの?

なにが違うの?

この冒頭の人が生まれて初めて付き合った人だったら話分かるのよ。

この性嫌悪症によって崩れ去ってしまったから、今度は少しでも頑張ろうって流れになるだろうし。

でも違うのよね、恋愛経験あるのよねこの子。

何回もそれでダメにしているわけでしょう?

ようやくこの冒頭の男の人で自分に欠けているものを学んだって事なのかしら。

ここの差別化が全く描かれていないのは残念としか言いようがない。

 

ただ中盤のこの部分除けばやっぱり最高峰のクオリティよ。

ゆっくりとゆっくりと、心の傷を癒してスキマを埋めていくような描写を形を変えて描写していく・・・。

もう面白いとかを超えてただただ美しいもの。

まとめ

クオリティは間違いなく名作レベル!

アタシはちょっと上記で挙げた点が気になっちゃったけど・・・。

シリアスとコミカル、この2つのジャンルにおけるBL漫画のお手本とも言っていい漫画じゃないかしら。

発展シーンはかなり控えめよ。

BL初心者にはかなり適した内容になっているわ!

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