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【感想】『鴆-ジェン-/文善やよひ先生』―不条理で不自由な選択肢―

鴆−ジェン−【おまけ付きRenta!限定版】

鴆−ジェン−【おまけ付きRenta!限定版】

百毒を合わせた色、これはまるで――

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こんにちは、氷太よ。

今日は文善やよひ先生の 

『鴆-ジェン-』

を頂いていくわね。

この作品凄いわね・・・。

世界観、設定、そして物語の繋げ方。

BLってジャンルだけに留めておくのは正直もったいない漫画よ。

正直魂が震えるレベル。

少年誌、青年誌、「ふしぎ遊戯」と色々なファンタジー漫画を読み歩いてきたアタシの経験を踏まえて言わせて頂くと

至高のSFドラマだなと。

これ以上の言葉ないなと。

そう思わされたわ。

 

ちなみに「鴆」ってそもそもなんぞ?

と思い、調べてみました。

鴆(ちん、簡体字: 拼音: zhèn)は、中国の古文献に記述が現れている猛を持った

大きさはぐらいで緑色の羽毛、そしてに似た色のクチバシを持ち、毒蛇を常食としているためその体内に猛毒を持っており、耕地の上を飛べば作物は全て枯死してしまうとされる。石の下に隠れた蛇を捕るのに、糞をかけると石が砕けたという記述もある。

どうやら龍とか鳳凰のような、空想の生物らしいわね。

そういやゲームの『真女神転生』シリーズでチンっているわ。

なるほどなるほど。

ここでクイズです!

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あらすじ

この国には、鴆(ジェン)という鳥人がいる。
有毒の食物を好んで食べ、
体内に溜め込んだ"毒"を"色"に変えると、
鮮やかで美しい羽根をつくる。
毒の強さは鴆の誇りだった。
しかし、いつしか人々は
その羽根の美しさに魅せられ、
より美しい鴆を飼うことを
ステータスとするようになり……。

一番美しい鴆と名高いツァイホンと、
かつてツァイホンの毒によって
兄を殺されたフェイ将軍。
憎しみと愛が交わる人外BL――!

こんな感じね。

2つ押さえておかなければならない要素があるわ。

1つ目

この鴆(ジェン)という生き物の特徴として、有毒の植物を食べ身体に宿る毒性が高まる事で羽の彩りが美しくなるという事。

2つ目

人間にとって鴆(ジェン)という生物の存在価値は、この「羽の美しさ」にあるという事。

この2つね。

美しければ美しい程、人はその羽に魅了される。

けれども美しければ美しい程、体内に宿る毒性は強く人の生命を脅かす。

人と鴆(ジェン)の繋がりというのは、そんな風に不条理に満ち溢れた関係性というわけね。

登場人物

フェイ(表紙右)×攻め

鴆を育てる鴆飼という仕事を元々担ってた軍人。

才能溢れた兄がいたが、ツァイホンに襲われ命を亡くす。

以後、鴆に関する考えを改め憎悪の気持ちを抱き始める。

ツァイホン(表紙左)×受け

フェイの兄により、世界一美しい羽を持つように育てられた鴆。

獰猛な鴆が多い中、元々ツァイホンは友好的で人間と仲が良かった。

ある出来事により凶暴になり、人を遠ざけるようになる。

 

感想

繊細優美ではあるけれども独特な絵、そして人外のキャラクターを主要人物に置いているのでそこに拒否反応が生まれる人はいるのかもしれないわ。

だけど物語は非常に重厚で物悲しいものよ。

ここに関してはどの人が読んでも非の打ち所が全くない内容になってるはず。

とにかく2人を取り巻く物悲しい状況に引きずり込まれるもの。

憎悪と、情、そして自己犠牲の描き方が本当に上手よ。

そしてこれほど嫉妬をキレイに描き上げる人見たことがないわ。

ドロドロとしているんじゃないの、キレイなのよ。

 

物語の中で特に秀逸なのが、鴆であるツァイホンの「ハリネズミのジレンマ」の状況下にある葛藤。

ここの作り込みが圧巻の一言よね。

そんな中で紡ぎ出されるツァイホンの

「私は幸せだった」

のシーン。

ここの美しさ半端ない。

 

ツァイホンは世界一美しい羽を持った鴆と称されており、即ちその身に宿している毒性も普通の鴆とは比較にならない程のものであるはず。

そんな存在が人に寄り添うという事がどういう結果となるのか、大体推測がつくわよね?

 

普通ならここで、「羽は汚くなるかもしれないけど、毒を摂取するのやめる」という展開に持っていく所だと思うわ。

これなら毒によって相手を傷つける事もなくなるのだから。

でもそうは問屋が卸さない。

鴆が毒物を摂取する事を止めるのは、命に係わるほどの苦痛を伴うものなのよ。

そしてフェイの兄との「世界一の鴆にさせる」という願いに縛られ、フェイのとある過去の出来事により強く刻まれることになった「鴆の価値は羽にある」という価値観がそれを許さないわけ。

もう何をしようにも壁があるの。

どの選択肢を選んでも、決して正解でもなく間違いでもないのよ。

どの選択肢を選んでも、犠牲が伴ってしまうの。

でも選んでいかなければならないのよね。

ここの部分の葛藤が通常の恋愛や、生死の問題をはるかに超えているわ。

色々な要素全て抱え込んだ、特定の事象に関するものではなく「精神」そのものの葛藤になっているの。

そして1つ1つの行動、セリフ、表情。

これらが全て最後の選択に結びついていくこの壮大さは、恐らく通常のBLでは見る事はできないはずよ。

まとめ

冷酷な現実により生まれた、揺るがない意志と擦り切れていく心。 

そんな感情を抱えた2人が最終的に何を犠牲にして何を選ぶのか。

その先にあるものは幸せなのかそうでないのか。

その結末を見届けて欲しいわ。

正に名作足りうるために生まれてきた名作と呼ぶべき漫画だとアタシは思う。

今回の漫画

 

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