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ホモがBL漫画を斬るわよ!

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【感想】『魔法使いの涙/直野儚羅先生』―覚めている夢―

魔法使いの涙

魔法使いの涙

形あるものは必ず朽ちてゆくのだ――

こんばんは、氷太よ。

今日は直野儚羅先生

『魔法使いの涙』

を頂いていくわね。

これね~、氷太すっごく期待してたのよ。

1冊丸っと描かれるんじゃなくって短編が他に2つ収録されてるわ。

1つはファンタジー要素でむしろBL要素ない方が良かったんじゃね?って内容と、もう1つはリーマンの話ね。

1番典型的なBLの形をしているのがこのリーマンの話。

まあとにもかくにも無難で特に何かに秀でているような物語ではなかったわね。

 

でも氷太はこの表題作目当てで購入したわけよ。

全ての生物には命がある。

そして大事な人の命が「不慮の事故」で果ててしまう。

だからその運命を変えたい・・・。

素晴らしいでしょう?この内容。

そんな感じのお話だと思ってた時期がボクにもありました。

ファンタジー要素が前提としてある物語だけども、「運命に抗う」っていう壮大なテーマをどう描いていくのか凄く楽しみだったのよね。

 

・・・でも設定が穴だらけでござったよ。 

 

あらすじ

高校卒業間近の矢野与一(やのよいち)は小さい頃から白躯(しらく)さんが大好き! シラクさんは有名なお百姓さんで、作った野菜がおいしいさと年齢不詳の若さから奥様方の人気者だ。

与一は昔から、自分が死にそうになるとシラクさんが助けてくれる不思議な夢を度々見ていて、 それはシラクさんが好きすぎるせいだと思っていたのだけれど!?

こんな感じね。

主人公は初めの段階では分かってないのよね。

自分がどんな状況にあって今目が覚めているのか。

分かっているのは夢で自分の命が絶えそうな時に現れるのが、「シラク」というお百姓さんという事だけなのよ。

実はこれは夢ではなく現実であって、命を救えなかった際には彼自身の魔法により生き返らせているのよね。

でもまた次々と起こる不幸な事故が襲い掛かってくるのよ。

 

登場人物

魔法使いの涙

 

与一(表紙左)×受け

特に何にも秀でている訳でもない一般市民。

不慮の事故により、命を落とす夢を何度も見ている。

その度に現れているシラクに恋心を抱いており、シラクの仕事の手伝いをしている。

シラク(表紙右)×攻め

与一の幼い頃から風貌の変わらない農家。

実は魔法使いであり、与一が事故に合う度に生き返らせている。

農家兼魔法使いという、BL史に刻まれるべき職業だとアタシは思う。

感想

まずガチで言わせて頂くとBL要素はさて置いて、軸となる物語にドデカイ穴があると言う事。

物語序盤こそは良かったのよ?

この物語特有のシリアスさがあって、いざ与一が事故にあって生き返らせる時も、何度も経験して来たためかシラクさんの悲しむ訳でもなく淡々としている様子もリアリティがあったものね。

ああ・・・本当に何度も経験して来たんだなと思わされる。

 

だけどいざ中盤に突入すると、前半部分のこの「事故」に関するものが一体なんだったのか完全に意味不明になるわ。

一切「事故」に合う事がなくなるのよ。

コレなんでなの?

今まで起こった事故を簡単に紹介すると

犬を追いかけて車に轢かれる(←まだ分かる)

台風でトタン屋根が飛んできて直撃する(←???)

この風呂敷の畳めなさ具合、困惑する事必須だと思う。

少なくとも氷太は、ホモバーに行って馴染みのスタッフに

「アタシ、ヒアルロン打って来たんだけど・・・どう?」

って言われた時くらい困惑したわ。

どう?じゃねえよ・・・。

どういう意図があって聞いてんだよ・・!!

 

話逸れたわね。

まあ普通ではないような事が立て続けに今まであったわけでしょ?

何で一切なくなるのよ?

そこなんで描かないのよ?

もう完璧に何事もなく日常を送っているのよね。

後は魔法の薬を誤って使用した話とか、魔法使いの集会に行く話になるのよね。

今までの出来事が無かった事になってて完璧に後日談になってるわ。

 

 

まだあるわ、あるのよ。

与一が「これは夢ではなく現実だったんだ」と認識する部分。

ここハッキリし過ぎじゃない?

皆も想像してみて。

夢って夢よね?

現実ではなく夢だったんだってなるわよね?

どういう体験をしていたとしてもさ。

ここも疑問しかないのよねえ・・・。

何で今まで夢としか思って来なかったものが、ここで現実だと認識できたのか。

そもそも何で確信にまで至っているのか全く訳が分からないわ・・・。

 

もう1つは序盤のお話の後半部分。

シラクが魔法で生き返らせてる理由も、与一の前から去ろうとする理由も完全に自己中心過ぎてもはやシラクにも感情移入できない。

アナタが居なくなるというのはどういう事を意味するのかなあ・・・。

 

短編で終わらせておくべき作品だったのでは・・?と言わざるを得ない。

特にこの魔法の薬を誤って使用した話とか主人公のドジっこぶりがイラッとする描かれ方になってるわ。

どこの深夜の萌えアニメだよ・・・と突っ込みを入れると同時にタブレット投げたもんね。

 

ちょっと全体的に残念だったかなあ・・・。

この穴の部分を補足してくれれば評価は全然変わってくるのに・・・。

もう1回書いて欲しいかなあ・・・これで終わらせるにはもったいない設定なのよね。

表紙、扉絵、プロローグは最高に素晴らしいのよ。

そしてこの物語の根幹部分の着眼点も非常に良かったのに。

だからこそ惜しいわね。

 

でも発展シーンは非常に上手。

これはこのままでも評価できるわね。

決して量は多くはないものの、臨場感が抜群にあるもの。

絵が飛び抜けてキレイな作家さんではないんじゃないかと思うんだけど、発展シーンは本当にキレイで丁寧に描かれてるわ。

 

まとめ

世界観、雰囲気は合格点。

だけどそれに見合う物語が作りきれてないのが残念ね。

この作品を通して何をメッセージとして送っているのかが定まっていない為、いまいちピンとくる事のなかった漫画ってところかな~。

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