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【感想】『こっち向いて笑って/市川けい先生』―待つ辛さ、待たせる理由―

こっち向いて笑って

こっち向いて笑って

 言葉の通りに受け止めてもいいんだろうか――

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こんばんは、氷太よ。

今日は市川けい先生の

『こっち向いて笑って』

を頂いていくわね。

 

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スロースターター』でおなじみの方ね。

独特なテンポで個性的な物語展開をしていく事に凄く長けている作家さんよね。

今作では大学生が主な登場人物になってくるわ。

そしてそのコマ送りのような描写も健在よ。

大きく何が違っているかというと、そもそも物語の初めにおける2人の関係性よね。

もう告白しちゃってんのよね。

そして返事は返していない。

そんなお互い宙ぶらりんの状態から、物語がスタートしていくわ。

これ結構辛いのよね~・・。

経験者は語るってやつよほんと・・・。

答えを貰えてないからこそ、よけいに相手の一挙一動に一喜一憂しちゃうのよね・・。

はあ・・・・。

お酒飲みたくなってきちゃったわね。

 

あらすじ

居酒屋でバイトする浅野は、特に親しくもなかった無愛想なイケメン・筧に「あんたの事好きなんですよ」と告白され人知れずパニックに。

しかし、それからも拍子抜けするほど態度の変わらない筧。

意識し始めたのは浅野の方で……。

告白からはじまり、ゆっくり心が近づく恋。せつなさ最強の市川けいのセカンドコミックス!

こんな感じね。

変わらないように見えているだけで、全ての物事には変化が伴う。

そういう部分も描き出しているのが今作の特徴の1つね。

一応設定ではどちらもノンケって事みたいなんだけど、アタシにはどう見ても潜在ホモにしか見えないのよね。

男同士って部分の葛藤を描いていく漫画ではないのよ。

答えを待つ、答えを見出す。

そういった部分のそれぞれ抱えている葛藤を、軽んじる事なく描写していく事になるわ。

登場人物

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浅野(表紙左)×攻め

人を好きになるという感情が分からない大学生。

交流も特になかった後輩、筧から突然告白された事により自分の気持ちと向き合っていく事になる。

筧(表紙右)×受け

人と接する事に慣れていない浅野のバイト先の後輩。

玉砕覚悟で浅野に告白するも、返事を待つ事になりヤキモキする事に。

感想

初めに言っておきたいのが、ストーリーには特に目立った特色はないって事。

「好き」っていう感情が分からない人間と、そんな人間に告白したホモのお話のストーリーを書いてって言われれば多かれ少なかれこんな物語になるだろうなって感じなの。

だけどやっぱり市川けい先生は凄かった。

アタシ改めて思ったもの。

漫画において、見せ方って1番大事なのかもしれないなって。

この独特なコマ送りなテンポと心理描写の愛称が抜群に良いのよ。

だから物語自体が普遍的なものであっても、凄く奥行きが生まれてくるのよね。

 

でもね、ぶっちゃけて言うと物語序盤だけはめっちゃ退屈だったのよね。

コマ送りっていうか時が止まってんじゃねえかってくらい進行が遅いのよ。

1コマに入ってる会話、特に独り言のような胸の内をセリフにしている冒頭部分が結構厳しいわ。

 

2話目から面白さとテンポが改善されていくわ。

1つ難点があるけどもね。

1回読んでる人の中にはピンと来る人絶対にいるはず。

忘年会に強制参加させるシーンよ。

ここタブレット投げそうになったわ。

だってだって!!

「無理やり誘って怒ってる?」→「それはもういいです」→「いや・・でも・・」

たったこれだけの繰り返しで3ページも使用するってどういう事なの?

ここそんなに大事なシーン?

今後を左右するイベントなのかしら?

ここ冒頭と並んで辛かった部分ね・・・。

 

でもこれくらいかな。

あーあったわ。

個人的なものでしかないんだけど、アタシって一応体育会系な人間だったから年下の「アンタ」呼ばわりってあんま好きじゃないのよね~。

ここに萌える人も居るんだろうけどさ。

アタシは『フェイクモンスター』でも語ったようにこの要素苦手なのよね。

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あとは一気に加速していくわよ。

浅野の「人を好きになる」っていう事がどういう事なのか理解できないっていう部分からアタシは感情移入できるようになっていったわ。

「空虚」な気持ちっていうのがヒシヒシと伝わってくる。

アタシ、高校時代がまさにこんな感じだったのよね。

好きっていう気持ちが分からなかったから人として欠けている人間だと思ってたもの。

 

正直、こういう感情を見つけ出して描いたっていうのが凄いなって思ったの。

でも本当に凄いのは、ここで葛藤や悩みを描かなかったって所ね。

バッサリ終わってるのよ。

これだけならアタシ、この設定必要だったのかしら?って言ってる所だけどこれが後半に繋がってくるのよねえ・・・。

それも筧からの視点でさ。

ここがこの物語の1番の見所よ。

何故筧からの告白にずっと返事を返せないのか、そして筧はどうやって浅野から答えを引きずり出すのか。

ここ注目して頂きたいわね!!

 

やっぱり2人の距離がどんどん縮まっていってからが本番な漫画なのかしらね。

人見知りな筧が浅野にご飯をタカるようになっていくんだけど・・・。

何この一緒にご飯食ってる2人・・・

可愛すぎだろ・・・!!

ヒレカツもヒレカツよ!

何よ、衣がカリっとしちゃっててさ!

「サクッ」じゃないわよ!!

アタシも誰かにヒレカツを「あ~ん」ってさせられたい!!

 

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アタシずっと浅野ってキャラクターって謎だなって思ってたのよね。

謎の同居人が居て、謎の苦学生設定があって、人懐っこい子かと思えばそうでもなかったりして・・・。

でも2人が結ばれた瞬間Sに目覚めるんだけど、ここの見せかたも良かったわね!

「燃えてきた」ってセリフの時

クッソかっこいいwww

ちょっと抱かれてもいいかな・・・なんて思ったもんね!

多分普通に物語に沿って行ったら受けになるのは浅野って流れだったんだけど、このドンデン返し良かったわね。

ちょいちょい挟まれてた筧の妄想はフラグだったって事ね・・・!!

この展開・・・中々やるじゃないの!!

ただ、この部分の浅野の順応性の高さにちょっと疑問が生じたのも確か。

まあ浅野の場合、好きになるって事が分からなかった訳だからそもそも自分でノンケっていう発言に信憑性がないわけなんだけどもね。

そういう立ち位置で生活してきた事を考えると、これはこれでおかしくないんじゃないかって最終的には思ったわ。

やっぱ潜在ホモだったのよ!!

 

まとめ

物語の軸となっている「待つ方の苦悩」「待たせる方の葛藤」。

ここらへんの部分がやはり素晴らしいと評価せざるを得ない内容になってる。

2人が直接的に繋がりを持ってからの話は間違いなく名作だし、言葉で全てを語らないという繊細な描写も素晴らしい。

ただこの独特なテンポが、物語進行に不適切なテンポになってる部分があるのがかなりの減点対象。

よって総合評価としては「推奨」とさせて頂くわ。

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