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ホモがBL漫画を斬るわよ!

独特の視点でBL漫画の感想を述べていく唯一無二のレビューコンテンツ

【感想】『俺と上司のかくしごと/嘉島ちあき先生』―秘密なんかいらない―

俺と上司のかくしごと

俺と上司のかくしごと

 今日からは俺の言うことを聞いてもらいますよ――

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こんばんは、氷太よ。

今日は嘉島ちあき先生の

『俺と上司のかくしごと』

を頂いていくわね。

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って思ったのはアタシだけじゃないはず。

 

いや~・・それにしても序盤のこの上司の可愛いの範疇を余裕で超えてる部下の扱き使いっぷり。

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いやさすがにここまで酷くはないかな・・・。

もうかなり人間として人格破綻してるもんなこの上司。

これ学生だったらまあ面白く読めるのかもしれないけど、実際にこういう上司抱えてる社会人の身からすると胃がキリキリするくらい腹立たしいわ。

 

日常的にはそんな上司・部下の関係性だったのだけれど、お互いに「かくしごと」を相手に晒してしまい、通常の上下関係を超えていくって方向に進んで行くわ。

ホモ上司とノンケ部下が繰り広げていくコメディの枠に留まらない漫画よ。

「弱み」を相手に握られてからが本番ってとこかな。

ここらへんが結構BLにはあまりない痛快さがあって面白い。

特にこの序盤のクソとしか言いようがない上司が、弱みを握られた瞬間って言ったらもう!!

www.youtube.com

この動画の35秒くらいからのモルモットみたいな哀愁があるんだものwww

あらすじ

隠れドルオタの御門は上司の姉崎が嫌いだ。

姉崎は仕事はデキるが、サビ残上等で雑務をすべて部下の御門に押しつけてばかり。

ある晩、飲み会でつぶれた姉崎を送っていくが、終電を逃してしまい突然、姉崎に――!?

こんな感じね。

そりゃこんな上司嫌いだろうな。

これ上司ノンケで部下がホモだったら部下の人生ハードゲーム過ぎるなあ・・・と読み終えてからぼんやり思ったわ。

そんだけ扱いが酷いんだって。

この序盤には嫌悪感抱くかもしれないわ。

っていうか抱く事の方が社会人としては普通なのかもしれない。

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世の中のお母さんってこれに近い事当たり前にやってるんだよなあ・・。

徹夜するって事はないのかもしれないけど・・・。

給料も出るわけでも感謝されるわけでもないのに。

そう考えたら母親って凄いよね。

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登場人物

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御門(表紙左)×攻め

姉崎の部下で、全ての雑務を引き受けている不遇な人。

アイドルが大好きで「めーちゃん」に全てを注いでいるドルオタ。

とある出来事から姉崎の弱みを握り、「NO」と言える部下に進化する

姉崎(表紙右)×受け

御門の上司で仕事を御門に押し付け定時で帰るクソが極まっている上司。

御門に握られた弱みを抹消しようと画策する。

過去の出来事により、人云々ではなく「恋愛」を信じられなくなっている。

 

感想 

2人の関係性の変化が実に丁寧ね。

ただの上司・部下の関係から、お互いの秘密を握る関係になる。

そしてそれがきっかけとなって接する機会が増えていき、1人の人間として意識していくようになる。

ここで浮き彫りになってくるのが、ノンケの男が「男を好きになる」っていう部分への葛藤と「人を好きにならない」と心に誓ったホモの葛藤。

前者はそれほど強くは描かれている訳ではないんだけれども、長い時間をかけているから徐々に変化していってるのが違和感なく表現されているわ。

上司である姉崎のどこらへんを良いと思えたのかが明確に描かれてないのが残念だけれども。

後者に関しては、これまでの流れとは打って変わって非常にシリアスで重さを感じるお話になっている。

序盤あれだけ嫌悪感しかなかった姉崎が、こんな事情を抱えてた人だったとは誰が想像できただろうか・・・。

姉崎、昔上司と付き合ってたのよね。

この上司、普段の立ち振る舞いこそ大人って感じがしてナイスガイなんだけど中々にクソなのよねえ・・・・。

後日談まで見事にクソ野郎でした。

最後ちょっと良い風で終わるけど、やってる事間違いなく最低だからね。

コイツとの過去の出来事が元凶で、姉崎は人を好きにならないと誓った遊び人になっちゃうのよ。

その上司の再来により、過去と今を見つめざるを得ない状況下での

「俺はただ自分の居場所が欲しかっただけなのに――」

って部分は悲痛な感情が充分伝わって来る。

男同士の関係はしがらみがないってのは本当にそうアタシも思うわ。

だから幸せになれないっていうのもある意味では正論なんだとも思う。

「不自由の自由」って言葉を思い出したわ。

人は空を飛べないわ。

大地を歩くしかないの。

でも空を飛ぶっていう事に憧れた人間は、空を飛べる技術を作った。

その一方で大地を歩く事に不便性を感じた人間は、車や電車を作ったわ。

これって、全てが自由だったなら絶対に生まれてないものなのよね。

空と大地の区別がなくって行動に制限がない事が、本当の意味で自由なんだろうけども不自由がなければ自由を認識できないのよ。

何も生まれないの。

人との関係性も同じだと思うわ。

だからこの「男同士はしがらみがない、だから幸せになれない」っていうのは確かに言葉通りに辿るとそういう事になるんだと思うの。

 

でもこの投げかけに、御門は見事な正論を返すの。

幸せになれないのは何故なのか?

ここと、その後の2人の結びつきこそが「俺と上司のかくしごと」なんだなあと感じたわ。

 

まとめ

もうちょっとインパクトのある見せかたをしてくれれば名作足りえた作品。

強く印象付けるシーンが欠けているかな。

それでもストーリー、キャラクター、そして葛藤の内容・展開は一級品よ。

コメディでもあり、シリアスなドラマでもあるこの漫画、推奨します!

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