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【感想】『来たる晴れかけの明日よ/上田アキ先生』―壊れる事のない世界―

来たる晴れかけの明日よ【おまけ付きRenta!限定版】

来たる晴れかけの明日よ【おまけ付きRenta!限定版】

背中を超えて心臓が、熱い――

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こんばんは、氷太よ。

今日は上田アキ先生

『来たる晴れかけの明日よ』

を頂いていくわね。

いやこれまた凄い作品ね・・・。

港町が舞台となった廃品回収業者のお話なんだけど、海を使った情景描写が抜群に上手。

これは付け焼刃じゃ絶対に創れないわ。

海が好きな人にしか絶対に描けないと思うの。

もう鳥肌立つくらいの素晴らしさよ。

 

氷太何回も言ってるけど、山育ちだから海って憧れるのよね。

だからより一層、色んな表情を見せる海をバックに展開されていく、登場人物の何気ないやりとりが一々かっこいいのよ!

 

「あっちで仕事しようや、天気いいし」

とかめっちゃ普通の会話でもかポワ~ンとなっちゃう・・・。

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あらすじ

廃品回収を営む晴仁と桜次郎。

晴仁の手は、魔法のように修理を施す。

壊れているはずの桜次郎の心さえ、彼の熱い手で背中を抱かれた途端に動き出したほどだ。
そんな時、眠る少年の回収を依頼された。

蘇るかつての真夏日。あの日、桜次郎は晴仁に廃品として“回収”されて──。

こんな感じね。

この「桜次郎は晴仁に廃品として“回収”されて──」って部分、意味分かんないと思うけどそういうド肝抜かれるような考えした家族が出てくるのよ。

人間を廃品として回収を依頼してくるの。

この物語は過去にそんな廃品として捨てられた少年と回収した青年のお話。

壊れているってどういう事なのか?

壊れているものを治すって何なのか?

そういう部分をそれぞれ捨てられた側・拾う側の視点でBL要素を交えて描かれていく事になるわ。

登場人物 

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晴仁(表紙右)×不明

壊れていても何でも直せる廃品回収業者。

陽気で落ち着いた性格の人。

回収を依頼された先に桜次郎がおり、連れて行く事に。

桜次郎(表紙左)×不明

過去に父親に「廃品」として捨てられた経験を持つ。

自分は壊れたおかしい人間だと思っている。

感想

まずさ、港町が舞台で住居用に改装された工場に男2人で住んでますっていう設定が最高にロマンがあって胸が高鳴る。

アタシが今めちゃめちゃハマってご飯のお供にしてるにんにくなめ茸並よ。

そんでこれまた廃品回収で使ってるトラックもカワイイのよねえ・・。

こちらは廃品回収の「ハレノヒ」ですってアナウンス流しながらトラックで移動するのよね。

そんな感じで相棒と一緒に仕事してるって感が堪らなくいいのよ!!

住んでる場所も一緒だから髪の毛乾かさずに修理に励んでる晴仁の髪の毛を桜次郎が乾かしてやるんだけど、微笑ましい通り越して

リア充爆発しろ。

って思ったよね、ウン。

 

物語の時系列の構成としては、現在→過去→現在って形になってるわ。

だから序盤「ん?これどういう事?」っていう伏線めいたセリフや間が出てくる。

けれども最後まで読み進めればそこにどんな意味があったのかキチンと分かるようになってるから、凄く良いアクセントになってる。

 

ただこの物語って、相手を振り向かせるっていう恋愛漫画のような展開は全くないわ。

そういった意味での葛藤や、男同士だから~っていう壁もあるわけじゃないの。

ただひたすらに、暖かく再生をしていく上で愛も育まれていく優しい恋愛になっているのよ。

だから基本的に物語のノリは穏やかでほのぼのとして暖かいわ。

廃品として捨てられた人、拾った人の物語だからこそ、この暖かさが沁みこむように伝わって来るのよね・・・。

まるで冬場に食うおでんみたいな暖かさよ・・・。

そしてそんな中2人を見守るように、海が背景として様々な感情が描かれていくんだけど壮大に見えて、でも2人だけの世界のようにも見える数々の描写はやっぱり言葉が出ないくらいに素晴らしい。

プロが描く情景描写っていうのはこういう事なんだって、鳥肌が立ったもの。

 

ただ欠点も見えるの。

まず少年を廃品として回収するよう依頼してきたのが、また桜次郎の父親なんだけどこの人が改心する流れがアッサリ過ぎるわ。

息子2人も廃品回収依頼しちゃうようなサイコパスな人なのに・・・。

夫婦揃ってめっちゃ胸糞悪いのよ。

犯罪係数250、デストロイ・デコンポーザーよ。

*アニメ:サイコパスを見ようねせやね

眠り続けている少年が都合よく起きる事もちょっとアレだけど、こんな簡単に改心できるなら今まで何故改心できなかったのか不思議なくらい軽いわ。

ただ、この家族に投げかける言葉は濡れるくらいに素晴らしい。

 

あともう1つ。

晴仁が唯一直せない重要なアイテム「時計のようなもの」が、いとも簡単に直ってしまう事。

これも軽いよ・・・見せかたが軽すぎて脱力感すらある。

何で今まで直せなかったの?

何でちょっと桜次郎が少し触ったくらいで直せるようになったの?

 

この2つが今までの地に足が付いている非常に現実味のあるドラマとはかけ離れて、予定調和で進んで行くファンタジーにしか見えなくて噛み合わないのよね。

この2点さえなければ・・・・!!

 

まとめ

上記2点を除けば素晴らしいのオンパレードで名作のクオリティ。

特に物語最後の締めくくりは圧巻よ!

まるでアニメーションのような、情景描写の凄さを堪能して欲しいわ。

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