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【感想】『ナチュラチュラリィ/市川けい先生』―終わりと始まり―

ナチュラチュラリィ

ナチュラチュラリィ

今まで全部一緒だった――

見所・内容をザックリ言うと

  •  恋心が芽生えるまでを描いた短編集
  •  言葉と描写を織り交ぜた秀逸な心理描写は健在
  •  表題作は双子の妹視点のかつてなかったであろう物語

 

こんばんは、氷太よ。

今日は市川けい先生

『ナチュラチュラリィ』

を頂いていくわね。

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この漫画は短編集になるわ。

そしてBL要素は全体的にかなり微かなのね~。

種を蒔いて芽が出てきたって所でどの作品も終わるのよ。

BL要素を「微かにある」と捉えるのか、「これはBLではない」と捉えるかで評価がはっきり分かれそうな漫画ね・・・。

かなりの人が「市川先生・・・発展シーンが見たいです・・・」って某漫画の名シーンのように膝から崩れ落ちるかもしれないけども、それがこの漫画の良さであり、テーマでもある。

恋が芽を出すまでをしっかりと重点的に描いていく事になるわ。

あらすじ 

双子の兄と私。

好きなものも、嫌いなものも同じ。

なにをするにもいつも一緒で、ずっと側に居るんだと思ってた。

当たり前みたいに。でも、兄を好きだという男が現れた。

永遠に続くと思っていた二人の世界は崩れはじめ――…。

女子視点でBLを描いた話題作!

他、流されずにはいられない市川けい短編集。

こんな感じね。

これは表題作のあらすじになるわ。

ぶっちゃけ女子視点と書かれているけども、双子の片割れ視点と捉えた方が適切かとは思うわ。

「双子の弟」だったとしても成り立つ物語だったもの。

ただアタシは「妹」っていう設定でよかったなって思うわ。

BLでこれだけ物語の中核に絡んでくる女の子ってそうそうないからとっても新鮮。

そして今まで当たり前にあった関係の終わりに対する哀愁が凄く出てるんだもの。

そしてここでしっかりと把握しておかなければならないのは

好きなものも、嫌いなものも同じ。

この部分よ。

ここをなくしてこの物語の良さを理解するのは不可能とも言えるほど、超重要な設定よ。

総評

市川先生、アシスタントでも雇ったのかしら?

絵はちょっと・・・くずれてない?

こんな絵だったっけ?

目の大きさと角度、おかしい部分あるわよね・・?

 

でもこの漫画は確かに、間違いなく面白い漫画よね。

と同時に心理描写が少し難解でもある。

特に表題作。

中心となるこの双子の妹が抱えている、相対する感情の存在を読み解いていかなければ良さが全然分からないはずだもの。

国語の小説問題が苦手なような子には、ちょっとばかし難しいかもしれない。

ただこれは、市川先生の描き方が悪いわけではなく複雑な心境を描く事に長けているからこそなのよね。

 

そしてボーイズラブというジャンルが、評価の足かせになるのは間違いない漫画でもあるわ。

「ボーイズストーリー」と言うべきか、もしくはボーイズではなく「ボーイラブ」のお話と言うべきか、そういう結末で留まってしまっているのよね・・・。

実態を持った相思相愛具合が描かれる事もなく、もちろん発展シーンもない。

そして表題作の主人公は女の子だし、それ以外の作品はまず主人公が誰かに恋をするわけではなく、想いを寄せられて恋が芽生えるというパターン。

だから奇抜な設定が目立つし、基本的には受動的だから、読者としても主観的に見る事もできないし客観的に見守る必要もないのよね。

ここらへんが既存のBL漫画と比較すると物足りなくなる要因なのかもしれないわ。

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感想

ナチュラチュラリィ

間違いなく秀逸。

2つの思いを同時に失うこの女の子が、最後の最後に感情を顕わにする部分はガチのガチで震える。

 これがまたさあ・・・。

ぶっ細工な泣き顔なのよ・・・。

でもこれが凄く良いのよ・・!!

 

この部分がもうこの物語の山場なのよね・・・。

ああ、今までのこの女の子の意味深な表情や行動の意味ってこういう感情からだったのか・・・とグサリと胸を突き刺してくるような泣き顔なの。

この女の子、ほとんどが髪の毛で表情が見えないんだけど、ここで一気にその描写が最高に活きてくる。

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「オコゲ」ってホモについて回る女の子って意味よ。

ホモを「オカマ」って言うでしょ?

「お釜」に纏わり付く「焦げ」ってのが「オコゲ」の由来よ。

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そんなオコゲの中にもホモに恋愛しちゃう子がいるのよ。

まさにホモがノンケに惚れるくらい、報われない想いなのよねえ・・・。

アタシは実際、そういう子を見た事があるからさ・・・。

あの子が流した涙もこんな感じだったのかしらと、ちょっとしんみりしちゃったわ・・・。

 

あとはアタシ、市川けい先生凄く好きなんだけどもね。

正直今までセリフが長い・モノローグがくどいというイメージはあったのよね。

一言で終わらせられる言葉なのに結構回りくどく言ったりとか・・・。

あんまり言いたくはないんだけど特に意味もなくコマ稼ぎしてんなあ・・・って思う部分も0ではなかったのよね。

でもこの作品は凄くバランスがいい。

無駄が無い・・・とまでは言わないけども、女の子の描写に関しては全てが活きている。

短編の作品の中で、アタシのTOP5の中には確実に入る作品ね。

ベランダにて

ベランダで、生霊?みたいな存在が見えるお話ね。

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これも面白い。

この生霊みたいな存在って、顔見知り程度の人なのよね。

顔見知りの人が主人公の家のベランダで、ホログラフのように見えるって感じかしら。

言葉を発する事は一切ないんだけど飲み物飲んでたり、寝たりもするの。

最後の方ではスマホも見るし、シコシコもするよ。

基本的に心理描写を描いていくっていうスタンスね。

たぶん表題作好きな人は、この『ベランダにて』も好きなはず。

カウント3632

エレベーターに閉じ込められた明るい人とコミュ障の話。

そうねえ・・・。

新妻くんと新夫くん』が好きな人は好きかもしれないわね。

アタシもキャラクターは嫌いじゃないんだけど・・・。

展開が急過ぎてイマイチだな~っていう印象。

コメディとしては優秀。

ステップワン

高校の先輩・後輩のお話。

しつこく迫ってくる後輩が、何のアクションもしてこなくなって――

って感じの物語。

押して引いて先輩の気持ちを揺らす後輩が結構面白いw

全体的な内容は良いんだけど・・・。

不平不満ばかりぶちまけるツンデレ強がりな先輩がアタシにはどうしても受け付けない。

めっちゃぶん殴りたくなるのよね。

でもたぶん女性目線では比較的好かれるキャラかとは思う。

凄く(CV:緑川光)ってのがしっくり来るような子。

いや緑川パイセンは大好きなんだけどもね。

テストプレイ

説明する事が不可能なくらい、意味不明な作品。

この短編集の中で唯一のダメだなと思った作品。

申し訳ないんだけども、これを面白いと思えた人どこらへんが面白かったのか教えて欲しいわ。

これ「市川けい」っていうブランドがあるからこそ成り立っている作品にしか思えないの。

道連れ

これはねえ・・・。

ハッピーエンドじゃなければダメな人が読むと、もうダメな作品かなあ・・・。

誰かの為に変わろうとした人間を、誰かの為に変われなかった人間が陥れるタイトル通り「道連れ」のお話なのよね。 

後味はめっちゃめちゃ悪いわ。

でもそこを目指して作られた作品であって、恐らくほとんどの人が後味の悪さを感じるであろう内容だから、クオリティは間違いなく高いのよね。

ドロっとした汚い人間を見事に再現してる。

まとめ

従来のBL漫画として計るならば、オススメする事は難しいかもしれない。

キュンっとするような甘い展開が描かれるわけではないしね。

その反面「葛藤」と「もどかしさ」が詰まった作品なのよね。

アタシはBLにそういう部分を求めているから、今作は買ってよかったと思える漫画だったわ。

やっぱ『ナチュラチュラリィ』と『ベランダにて』は名作よ・・・!!

ただやっぱ「繋がりを持ってからが見たい!」っていう反論があってもおかしくない漫画ではあるのは確かね。

総合的に考えるとオススメっていう評価が妥当かな。

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今回の漫画

 

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